不登校の子を持つ親に寄り添って20年。親子支援ネットワーク♪あんだんて♪

vol.4~5 通信11号~12号

Let's go to the cinema!!~僕の愛した映画たち~ 

ローズマリーの赤ちゃん(通信11号掲載)

 あらすじ
 ウッドハウス夫妻は新しいアパートに引っ越してきたばかりである。夫ガイは俳優をしているが、なかなかよい役に巡り会えずにいる。妻ローズマリーは早く子どもを持ちたいと思っている若妻である。ある日ローズマリーはテリーという同世代の隣人に出会うが、数日後彼女は窓から飛び降りて亡くなる。その後ローズマリーは夫とともに、テリーの同居人であったカスタベットという老夫婦と仲良くなるのだが、ローズマリーは夫妻を好きになれない。そんなある日、ローズマリーは自分が妊娠していることを知る。

 監督は「戦場のピアニスト」で2002年アカデミー賞監督賞を受賞した「ロマン・ポランスキー」。出演はローズマリー役に「ミア・フェロー」、ガイ役に「ジョン・カサベテス」。カスタベット夫人ミニー役には、本作でアカデミー賞助演女優賞を受賞した「ルース・ゴードン」が起用されている。
 この作品は、私が今まで観てきた中でもっとも感銘を受けたホラー映画である。もっとも「ホラー」というジャンルに分けてしまうと、少々誤解を招いてしまいかねないのだが、この作品は「ホラーでもあり、スリラーでもあり、オカルト映画でもあり、また子どもを守ろうとする母親の『母性』をテーマにしたドラマでもある」。これが正しい表現である。
 この映画でもっとも好きな点は、「恐怖シーンが一つもない」点である。もともと恐がりな私はホラー映画が苦手で、一度観ようと決意しても、中断してしまうことがしばしばあるのだが、本作はかじりついて観た。「恐怖シーン」とは、思わず背を向けてしまいたくなるシーンという意味で使ったのだが、本作はそういったシーンがない。そのかわりに、恐怖シーンが大量にある映画とは違う、じわじわとまるで少しずつ血が逆流し始めるような怖さがある。周りの人々が感じ始める違和感や恐怖を、日常生活を主体に表現することで描ききったのは、監督やスタッフ、俳優の手腕によるものだと思う。

 そしてもう一つ、彼らは「ドラマ」という部分においてもすばらしい結果を残している。その中でも最も優れているのは、「母性」の描き方である。
 この映画の中でローズマリーは「子どものために何でもする女性」として描かれている。そしてその変化を、監督は少しずつ突き詰めていくように演出している。この演出の細かさこそが、この作品のすばらしさとも言えるだろう。そしてその変化が、この映画の怖さを引き立てている。
 これこそが恐怖シーンのないホラーのすばらしさである。と言うより、すばらしい点がありすぎて、書き切れないというのが事実である。
 しかし断言してもいい。私はこれからもホラー映画を何本も観るだろうが、この作品を超えるものは現れないだろう。少なくとも私の中ではNO.1ホラーである。

スタンド・バイ・ミー  米 86年 (通信12号掲載)

 この映画は宝石箱のようである。しかしそれは「豪華絢爛な衣装やセットが出てくる」という意味でも、「ハリウッドスターの夢の共演」という意味でもない。ただ温かく、懐かしい雰囲気。風景画のような美しい映像。キャラクター一人ひとりの魅力や、それを演じている俳優たちの素晴らしさ、そして50年代の音楽。そのすべてがこの映画の中にキュッと詰まっている。
 この映画の原作は、モダンホラーの巨匠スティーブン・キングの「The Body」。これは本人の半自叙伝的短編である。そして、それを映画化したのは「恋人たちの予感」で知られるロブ・ライナ監督である。

あらすじ
この物語は、作家になったゴーディの回想によって語られる。1959年の9月のこと。アメリカのオレゴン州にある片田舎に住む4人の少年(ゴーディ、クリス、テディ、バーン)は、数日前から町で噂になっている行方不明の少年の死体が、遠く離れた町に転がっているという話に興味をかき立てられ、その死体を探しに、2日にわたる冒険の旅に出かける。そして、それは4人にとって、生涯忘れることのできない想い出となる。

 なんといっても、「懐古趣味」のある私にとって、この映画はすべての条件を満たしていた。映像、音楽で見事にオープニングから引き込まれてから、1時間半という時間があっという間に過ぎてしまった。しかし、その1時間半はとても濃密なものであった。
 まずはキャスト(キャラクター)に引き込まれた。この映画で有名になった、クリス役のリバー・フェニックスはもちろん、ゴーディ役のウィル・ウィートンなどすべてのキャラクターが、まさにこの役を演じるために生まれてきたようだった。それぞれの性格や設定、動き、気持ちの揺れ動き方などがリアリティに満ちあふれていて、魅力的であった。この魅力によって、見ている側は4人の誰かにすんなりと自分を重ねることができるわけである。
 そしてやはりどうしても外せないのは、ベン・E・キングの同名の主題歌である。この曲は映画を観ていなくても、口ずさめる人が多いだろうが、他のどこで聞くよりも、この映画では効果的な使い方がされている。またこの曲以外にも50年代を代表する名曲が使用されているが、それらの使い方もまた心地いいものになっている。
 このすべての条件を満たしている映画など、そうそうあるわけではない。しかしこの映画は、単なる懐古趣味映画ではない。観た後に、これ以上ない爽快感と元気と幸せを与えてくれるすばらしい映画である。

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