過去のイベント
これまでの主催イベント
♪あんだんて♪ではこれまで毎年、記念イベントを開催してきました。テーマやお呼びするゲストなどは、親としての視線を忘れず、今しんどい思いをされている方が、少しでもホッとしてくださるよう、また知っておきたいと思っていただけるものをと検討しております。
ここではイベントの概要を簡単に紹介しております。イベント詳細は報告集として発行しており、必要な方に有料でおわけしていますので、詳しくは『♪あんだんて♪の本』のページをご覧ください。
- 2016年度
♪あんだんて♪13周年記念イベント 不登校経験者シンポジウム『まず知ってみよう 今どきの子どもとネット』~不登校の子どものスマホ事情~
(2月19日:中京青少年活動センター 共催 京都市ユースサービス協会)- 参加者の感想
2月19日の♪あんだんて♪のシンポジウム「まず知ってみよう 今どきの子どもとネット」に参加しました。ゲームなどのネット利用については、親の会でもよく話が出ますが、ネット環境がわが子の不登校時とは大きく違うので今のネットについて知りたい、と思ったからです。
【まずネットを理解する】
最初にお話されたのが「ネットは便利な面と危険な面がある。それは車と同じで、危険だから使わない、ということではなく、賢く使って、正しく怖がりましょう」ということでした。
①ネットの端末は、ゲーム機、音楽プレイヤーなどもあり多様化していて、手軽になっている。
②ネットで一度公開した情報は消えない、投稿によっては加害者になる可能性もある、個人情報流出の恐れがある、犯罪につながる出会いがある、依存症になる恐れがある…等起こりうる問題について知っていることが大事。
③一方、ネットにより様々な情報を得て世界が広がる面があり、ネットを利用した仕事(オンライントレード、ユーチューバー等)は今後増えていくと思われる。問題点を聞くと怖い気がしますが、そのことを知って子どもと話し合ったりルール作りをすることが大事、というお話でした。例えば、コンビニの冷凍ケースに入って写真を撮ったことがニュースになりましたが「簡単な気持ちでしたとしても犯罪だしネット情報は消えないんだね」と話し合うことで一緒に考える機会になるんですね。
【ネットを使う子どもとどう向き合うか】
①親子のコミュニケーションが大事。子どもの「常識」を知ったり、子どもの「困った」を受けとめるために、話せる環境を作りましょう。子どもが相談してきた時に事情を聞き一緒に考える。寝られないなど「しんどくなったらネットから離れよう」と提案するなど。一方的に機器を取り上げたり、先生に伝える等の暴走をしない。
②具体的に…ネットの相手に会わない、個人情報を教えない、と伝える。課金が必要なゲーム等をするときはパスワードを親が管理する、カード番号入力をその都度する、フィルタリングをする(新しいゲーム機はすでにフィルタリングされているそうです)などの対策をする。
③ルールは家族で子どもの状況に合ったものを一緒に作る。何時間まで、と親の側が決めるのではなく、「ご飯は食べよう」「トイレにはちゃんと行こう」というルールが基本、という考えで。シンポジウム後半の不登校を体験した若者やお母さんによるパネルディスカッションでは、今時の若者が、ゲームキャラクターを作ったりそれを仲間と共有したり、と私には想像できないネットの使い方をしていることに驚きました。「不登校」のしんどい気持ちから離れるためにゲームなどネットを利用していたが、そこで新しい世界に出会ったり刺激を受けたことが今の進路や活動につながっている、という話もありました。
竹内さんのお話の中で「一番の対策は親子のコミュニケーション」ということに、とても共感しました。
コミュニケーションは、親の意見を押し付けるのではなく、まず子どもの話を聴くことから。ゲームの話ならしてくれたり一緒に遊べることもありますよね。シンポジウムでは「リアルな世界」=「実際に人とつながることや行動していくこと」が増えるとネットに関わる時間は減っていく、と話されました。「リアルな世界」が何かは一人ひとり違うと思うし親の期待通りでない場合もあると思いますが、親としては柔軟な考えで見守っていきたいですね。(ネットワーク会員Sさん:『子育て・不登校支援ネット クロスロード』)
- 2015年度
♪あんだんて♪12周年記念イベント 不登校経験者シンポジウム「経験者が語る、不登校・ひきこもり支援」
(10月17日:中京青少年活動センター 共催 京都市ユースサービス協会)
今回のシンポジウムは、不登校を経験したのち、支援者の立場で仕事やボランティアをしている若者たちからお話を聞かせていただくというものでした。これまでにない企画に、多数のご予約をいただき、当日は会場が満員となりました。ご来場いただきました皆様、ありがとうございました。彼らの支援者としてのお話は興味深く、また、謙虚に誰かの支えになりたいという姿勢は素晴らしいと思いました。
コーディネーターには、♪あんだんて♪のシンポジウムではおなじみの立命館大学の春日井先生をお迎えし、いつものように、和やかな雰囲気を作っていただきました。パネラーの皆さんにとっては、つらかった体験や気持ちを振り返ることでもあるので、しんどいこともあったかもしれませんが、春日井先生がうまく気持ちを引き出すような質問をしてくださり、感動的なお話も聞くことができました。全体を通して、先生の若者たちへの温かなまなざしが感じられる会となり、何かほっとするような空気が流れていたと思います。
パネラーの皆さんは、揃って今の自分がいかに周囲に支えられてきたかという感謝の気持ちと、だからこそ、その経験を生かした、しんどい方に寄り添った支援ができるのではという気持ちを語ってくださいました。先生は、援助者と被援助者は同じ目線でないといけないということをすでに彼らは身に着けているとほめておられましたが、しんどい経験を乗り越えたからこそ、支援者としての資質を身に着けられたのかもしれません。もちろん、仕事をする上では、当事者性は、自らを苦しめることにもなりかねませんが、それも理解し、なおかつ援助職に就こうという強い思いを持っておられることに感銘を受けました。
春日井先生とパネラーの皆さんには、お忙しい中、このシンポジウムのコーディネーターとパネラーをお引き受けいただいたこと、たいへん感謝いたしております。そして、パネラーの方からは心が軽くなったような気がするとの感想もいただき、改めて、私たちスタッフもお願いしてよかったと嬉しくなりました。ご参加いただいた皆様からは、お話を聴けてよかったという感想も多数いただきました。「助けるということは実は助けられること」と先生もおっしゃっていましたが、こうしたシンポジウムを毎年開催することで、実は私たちスタッフ自身が一番助けられているのだと実感しています。今後も皆様と助け合いながら活動を続けていきたいと思っています。
- 2014年度
♪あんだんて♪11周年記念イベント 不登校経験者シンポジウム「話したい 聴きたい 家族の本音」
(10月19日:中京青少年活動センター 共催 京都市ユースサービス協会)今回のシンポジウムのテーマは、「話したい、聴きたい、家族の本音」ということで、家族の関わりを考えるというものでした。初めてパネラーに経験者のお父さんが出てくださり、そのせいかいつもより参加者に男性が多いような気がしました。予約もいつになく早いペースで埋まり、当日はまさに満員御礼状態でした。ご参加くださいました皆様、ありがとうございました。
コーディネーターは♪あんだんて♪と古くからおつきあいのある金馬宗昭さんにお願いしましたが、長く通信制高校の教師をされご自身もひきこもりの経験があり、また二児の父でもいらっしゃるので、パネラーさんたちとの共通点もあって、うまく本音を引き出してくださったのではと思います。
パネラーの不登校経験者SさんもNさんも、思い出すのも苦しいこともあったかもしれませんがよくお話しくださいました。Sさんは中学卒業後、バイトをして学業からまったく離れた経験もおありなのに、再び学び直し大学に進学、現在は大学院生です。授業料もご自分で工面されたとのことで、会場からはどよめきが起きたのが印象的でした。
Nさんは学習面でいろいろな苦労もされていたのに、ご自分の信念に基づき進路を決めて、工夫しながら勉強をされていることにとても感心しました。そして、お二人ともご自分の不登校の経験があったからこそ、それを生かし、役立てたいという思いでその道を選ばれたとお聞きし、胸が熱くなりました。お二人が大事な決断をされるときには、親御さんの予想をはるかに超えるような成長ぶりをみせられていて、親には見えていないところで、子どもは着実に育っているのだと思い知らされた気がします。SさんとNさんの優しいお人柄そのものも、十分に伝わってくるお話でした。
Nさんのお父さんと母親の立場であるFさんも、当時の失敗談も含めてオープンに語ってくださり、みんなが共感できるお話だったのではと思います。Nさんとお父さんが『クロスロード※』さんにつながり、元気を回復していかれる様子なども参考になったのではないでしょうか。
♪あんだんて♪には、SさんとNさんの生の体験談が聞けてよかったという感想をたくさんいただきました。また、母親の立場の方から「夫の気持ちが少しわかった気がする」とか、「金馬先生の的確なワンポイントアドバイスがとてもよかった」という感想も。それぞれのご家庭で、家族のコミュニケーションを考えるとき、こうしたことを思い出していただけたらと思います。
このシンポジウムも今後、報告集としてまとめる予定です。今しばらくお待ちください。※クロスロード ♪あんだんて♪と古くから交流のある高槻のフリースクール。現在は活動を休止されていますが、親の会は継続中。代表の嶋田さんの温かいお人柄に、助けられた方が多数いらっしゃいます。
~当日のアンケートより~
○不登校の経験者さんや親御さんのお話を聞かせて頂き、親の不安の解消(子供の進路に対する)や元気をいただきました。不登校してよかったというお話をきいて、いろいろ大変なこともあったと思うが、経験を糧にがんばれることに感動しました。
○ご本人の体験が聞けたことがすごくよかったです。なかなか父親の心理や意見などを聞く機会がないので少し男性の気持ちがわかったような気がします。親もあせる気持ちが少しおだやかになり、また子供とも向き合えそうです。
○父としての立場がどのような形であれ、子どもとは楽しく過ごすようにしていけばいいのかな!本日は楽しく聞かせ頂きました。よかったです。
○子ども、母親、父親の本音が聞けて「あるある」と思いながら、笑いもあり、あらためて子どもへの寄り添い方を教えていただいた時間でした。
○みなさんのリアルな話を聞いて善かったです。不登校を経験し、そしてそれを克服するには、ささいなきっかけなのかなと感じました。自分はそのきっかけをまだ掴めていないので、現状を打破できないでいますが、少しでも今日の話を参考にできたらなと思います。
○金馬先生のお話し、パネラーの人たちの思い、本当に心に響きました。お父さん(主人)の気持ちはあまり今まで理解しようとしてきませんでした。でも主人は主人できっと悩んでいるのだろうと今思います。
- 2013年度
♪あんだんて♪10周年記念イベント 不登校経験者シンポジウム「不登校の子どもたちから、先を歩いている先輩たちへの100の質問」
(10月20日:中京青少年活動センター 共催 京都市ユースサービス協会、後援・助成 京都新聞社会福祉事業団)コーディネーター 福本早穂(♪あんだんて♪代表)
パネラー 不登校を経験した若者 9名9人もの経験者が並んだシンポジウムはあまり例がないのではないだろうか。こんなにいるのかーすごいなぁと感心する一方で、なんかみんな普通の子やなぁ、という印象をもった。普通という表現はすこし誤解をまねくかな。9人それぞれ個性的で、感性豊か、おとなしい子もいれば、しっかり者という感じの子もいるし、真面目そうな子もいれば、場の雰囲気を和ませようとユーモアたっぷりに語ってくれる子もいる。就活や人間関係に悩み、その一方で人を愛し、将来に夢を描く。その姿は、不登校経験者といっても、ごく普通の若者たちとなんらかわりない。まさに、「不登校でも子は育つ」んだってこと、彼らの姿がそれをそのまま証明してくれていたのではないだろうか。
学校へ行かず、勉強からも遠ざかり、一日中TV やゲームで過ごしていて、わが子は将来どうなるんだろうーと不安になっておられた親御さん、大丈夫、今日のパネラーの皆さんのように、普通の若者になります。~当日のアンケートから~
○過去の経験を非常に冷静に振り返って話されている姿に感銘を受けました。私も中1の秋から中3まで不登校を経験しましたが、司会の方の質問に自分も心の中で自分の経験を振り返って答えていました。よい機会となりました。
○パネラーの皆さんの一言一言の言葉の重みを感じた。パネラーの皆さんの自分自身の地に足についたしっかり生き方に感動しました。学校に通っている子どもたちに比べ不登校の子どもは立ち止まっているように見えるが自分自身を見つめ、おそらくパネラーの皆さんの同世代の方々よりしっかり生きていられると思った。
○ずっと不登校経験者の声を聞きたいと思っていたので、その頃の気持ちや生活を聞かせて頂いて有難うございました。外でなにがあっても、家の中では(家族)肯定してもらえる安心感があっていいという言葉が私の胸につきささりました。
○こんなにたくさんのパネラーの方々の生の声が」きけると思いませんでした。とても参考になりましたし、心強く感じました。
*他にもたくさんの感想をいただき、ありがとうございました。
- 2012年度
♪あんだんて♪9周年記念イベント 不登校経験者シンポジウム 「現代の若者の自立とその支援を考える」
(2月2日:中京青少年活動センター 共催 京都市ユースサービス協会、後援・助成 京都新聞社会福祉事業団)コーディネーター 春日井敏之さん(立命館大学教授)
パネラー 不登校を経験した若者 3名台風の影響で開催が延期になったシンポジウムでしたが、当日は70名あまりの方にご参加いただきました。コーディネーターの立命館大学教授春日井敏之さんと3人の不登校を経験した若者たちのやりとりに、参加者の皆さまは、ときには笑いながらも真剣に、若者たちをどう支えていくかを考えてくださっていたかと思います。子どもたちを取り巻く環境はまだまだ厳しくなっていきそうですが、ご参加くださった皆さまのお力で、少しでも改善されていくことを願ってやみません。
春日井先生、パネラーの皆さん、そしてご参加いただいた方々に、心より感謝しております。参加者のお一人から寄せられた感想です。- 私は、40歳を迎えたころ、仕事上のストレスから、会社に出勤できなくなりました。そして、休職、退職し、無職となり家から出られない日々が数年続き、頑張って再就職しても三日くらいでしんどくなり、辞めるという事を繰り返していました。
振り返ってみますと、子どもの頃から親や周りの大人から学校に行かなければ就職出来ない、言い換えれば学校にさえ行ってさえいれば、将来安泰みたいに聞かされて育ち、当たり前の様に就職しました。しかし、この神話は、結婚し子どもの親になった40歳にして崩壊しました。
そこで、今日のシンポジウムに参加して、学校に行くことの意味について考えさせられました。誤解のないように申し上げますが、私は決して、学校を否定したり、行かなくてもいいと言ったりしているのではありません。
小、中高は不登校であっても大学や専門学校に進学し、立派な社会人として自らの体験を語るパネラーの彼らを見てそう思います。明るく語る彼らですが、当時の悩みやご苦労は言葉では語りきれない大変なものだっただろうとお察しいたします。
今回のテーマは「現代の若者の自立とその支援を考える」ですが、これは、彼らが自らの自立について考えると言うことではなく、周りの大人が彼らの自立についてどのように支援していくかについて考える事だと思います。
司会の春日井先生から、「今の学校教育は、均質化を求め、それに子どもが合わせる傾向がある。子どもの権利や利益を守るために守りの枠は必要だけれども、その枠からはみでて、それに合わない子どもがいて当たり前で、そこからはみ出る子どもたちを含めて守りの枠を再構成する必要がある。しかし、そこが今の学校や社会に欠けている。」とのお話がありました。
まさにその通りだと思います。この均質化を求める傾向は学校だけでなく社会においても同じ様に感じます。
私は、サラリーマンという枠からはみ出たのですね。そして、最初はサラリーマンに戻る事ばかりを考えておりました。しかし、そのことに気が付き、そこから脱出すのに10年ほどかかりましたが、今は個人事業主として、毎日のびのびと仕事をしております。
なので、不登校の場合も「学校に戻る(戻す)」選択の他に「学校に行かない」という選択肢もあるというお話に共感いたします。周りの目、世間体、学力の問題と色々あるかもしれませんが、今日のお話を聞き、自分の人生と重ね合わせてそう感じました。(支援会員 くまおさん)
- 私は、40歳を迎えたころ、仕事上のストレスから、会社に出勤できなくなりました。そして、休職、退職し、無職となり家から出られない日々が数年続き、頑張って再就職しても三日くらいでしんどくなり、辞めるという事を繰り返していました。
- 2011年度
8周年記念シンポジウム『子どもたちがハマるパソコン・ゲーム・ケータイを考える』
(9月4日:アスニー山科 後援・助成 公益財団法人京都新聞社会福祉事業団)
今年は、♪あんだんて♪のご相談のなかでしばしば出てくる「子どもがハマるゲーム・パソコン・ケータイ」について考えました。
親の世代にはなかったものが、どんどん開発され、あっというまに子どもたちは取り入れて行きます。他の問題では、経験してきた先達として子どもたちに危険を伝えたり、教えたりできるのですが、これらに関しては親の方が心配しながら後からついて行っている現状です。法規制がまだ整備されていない業界であり、ネット被害のニュースをみると不安になることもあります。また、長時間にわたってゲームやPCに向き合っているわが子をどう見守り、どんなふうに親子のコミュニケーションをもてばいいのか悩んでいる親御さんも多いと思います。
そこで、インターネットアドバイザーの竹内義博さんをお招きし、不登校経験者の学生2人をパネラーにお願いしてシンポジウムを開催しました。しかし、なにぶんテーマが私たち自身もよく知らない分野ですので、問題点の絞りかたに悩んで準備段階で手間取り、パネラーの設定や竹内さんにお願いする話のポイントをどこにおくかといったこともぎりぎりまで決まりませんでした。そういうわけで、広報も今ひとつ的を絞ってアピールできず、なんだか力の入らないまま当日を迎えてしまった感じです。
でも、打ち合わせでパネラーのお二人の不登校経験をお聴きしているうちに、だいぶ構想が固まって来て、その後の竹内さんとの打ち合わせもスムーズにいきました。
シンポジウムの中で印象に残ったのは、ネットの世界も現実世界も同じように人間関係やコミュニケーションの問題があるということです。ゲームやPCにハマるにしても、現実の人間関係で自分の居場所がなくてネットの世界に居場所を見つけている子どももいれば、現実社会でもネット社会でも居場所がある、という子どももいます。
学校や同世代の中で居場所がなくなり、自己否定している子どもには、せめて家庭には安心できる居場所が必要なのではないでしょうか?このシンポジウムでも、親子のコミュニケーションの通路をいつも開けておくということが大切だと感じられました。- ゲスト紹介
- 竹内義博さん(「ぱそこんる~む123」主宰、財団法人インターネット協会認定・インターネット利用アドバイザー)
- ゲスト紹介
- 2010年度
7周年記念不登校経験者シンポジウム『学校へ行かない日々をふり返って今』
(9月12日:アスニー山科 後援・助成 京都新聞社会福祉事業団)
意図した訳ではありませんが、今までに1、3、5、7周年と隔年ごとに不登校経験者をパネラーに招いて、しんどい時期や動き出してから今までの話を伺ってきました。当事者の話は、支援者も関心を寄せてくださり、親御さんだけでなくスクールカウンセラー、親の会世話人、府青少年育成担当者といった方々にも聞いていただけてうれしく思いました。今年は、通信「Q憩+N」でおなじみのお二人と、大学生の女子二人に来ていただきました。
昼夜逆転、ゲーム、生活の乱れ、学力など、不登校になるとほとんどの親が心配する子どもの変化を、実体験から聞くことができ、目の前のしんどいわが子への理解を深めていただいた親御さんも多いと思います。
今回、別室登校や保健室登校の話も聞けましたが、行った先でどんな人とどんなかかわりがあるのか、居場所になっているのかどうかで、子どもの安心感もずいぶんちがうことが感じられました。
「保健室や別室の居心地がいいと教室に入れない」とおっしゃる先生もいらっしゃるようですが、自分から教室に行ってみようと思えないと、ただ無理させるだけではかえってしんどくなってしまい、回復が遅れます。子どもの回復段階をみて親が学校へ働きかけて行くことも含め、学校内の配慮や受け皿づくりが必要であり、学校全体として理解のある取り組みがあってのこととパネラーの話から感じました。
Qさんが、「不登校になったことは、親には責任はない」とはっきり言いきってくださったとき、涙をふいていらっしゃる方もあり、今までのつらさがしのばれて胸が熱くなりました。また、「親は親の人生を生きてほしい」という言葉も印象に残りました。不登校と言っても、思春期の子どもであることに変わりはありません。いい意味で親離れ、子離れしていく時期でもあります。
今、しんどい渦中の子どもさんたちがパネラーの人たちのように、いつか「不登校も人生経験のひとつ」と言える日が来ることを信じて、親御さんと一緒に♪あんだんて♪の私たちも見守っていきたいと思います。
パネラーの話から、親がだれかに責められたり、自責の思いでつらそうにしているのをみると、子どもは自分を責めてよけいにしんどくなることもわかりました。どうぞオンリーワン、ゆうスペース、こなやみカフェにお越し下さって、どんな小さなことでもいいので、日々の心配や不安を♪あんだんて♪で話してください。そして、心に余裕をもって笑顔で子どもさんと過ごしてください。
支援者の方々も、気軽にお越しください。お互いに情報交換したいと思います。
- 2009年度
6周年記念イベン『高垣忠一郎さん講演会』
(10月4日:ひとまち交流館大会議室 後援・助成 京都新聞社会福祉事業団)
今年1月、立命館大学で開催された高垣先生の最終講義を聴かせていただき、深く共感したことがきっかけで、6周年記念にぜひお招きしたいとスタッフの意見が一致したのが今年の春。思いがけなく「ひとまち交流館」の大会議室という大きな会場が取れ、少しでも多くの方に聴いていただきたいという私たちの願いが叶いました。しかし、広報がどうも下手な私たち。折しも新型インフルエンザの流行も始まり、当日どれだけの人が集まってくださるのか、不安でいっぱいになりました。
そんな不安な気持ちを支えてくださったのは、今までつながりを培ってきた、多くの支援者の皆さまでした。通信を発送するときに、チラシを折り込んでいただいたり、イベントを開催するときにチラシを配っていただくなど、手間のかかる作業を、とても快く引き受けてくださいました。また会員の皆さまもご自分の身近な人を誘い合わせてお越しくださいました。後で参加者名簿を見ると、そうした「人のつながり」をしみじみと感じることができました。本当にありがとうございました。
当日は「electric sofa」のお二人の演奏から始まりました。マイクなどの音響設備や条件が悪く戸惑いもあったかと思いますが、心温まるトークを交えながら、素敵な曲を聴かせてくださったお二人。胸を熱くして聴かれた方もたくさんいらっしゃったかと思います。
高垣先生のお話しもとても心に残るものでした。お聴きしながら頭の中を駆け巡っていたのは、子どもが学校に行けなくなった当時、混乱している私を支えてくださった多くの方たちの顔。今自分があるのは、そんな多くの方の支えのおかげだと、あらためて振り返ることができました。学校に行けない子どもとかかわる日々はつらいこともあったけど、それがなかったら今の自分もなかった。唯一無二の自分が、とてもいとおしく思える1日でした。
- 2008年度
5周年記念イベント不登校経験者シンポジウム「自分にとっての不登校」
(9月21日:京都アスニー 後援・助成 京都新聞社会福祉事業団)
朝から大雨洪水警報が発令されるような不安定なお天気の中、30名あまりの方にご参加いただきました。母親だけでなく父親や子どもさんとの参加者も目にとまりました。
立命館大学教授の春日井敏之先生をコーディネーターにお招きし、社会人から高校生までという広い年代層の不登校経験者4人のパネラー。このような場は初めてという子どもさんもいて、最初は緊張感も見えたものの、春日井先生のユーモアあふれる暖かいお人柄に助けられながら、それぞれが自分らしく、自らの経験を振り返り語ってくれました。
参加してくださった親ごさんからも、「自分が子どもの為にたくさんのヒントや勇気をもらいました」、「人の生き方はひとそれぞれであっていいと思えるようになったので、不登校も捨てたものじゃないと思いました」という感想が聞け、時々雷鳴が響き渡る外のお天気とは裏腹に、心温まる時間が過ごせたかと思います。- パネラー紹介(いずれも当時)
- 大学2回生男性(心理学専攻)
- 大学1回生女性(心理学専攻)
- 高校3年生女性(大学へ進学志望)
- 社会人男性 29歳(通信制高校の教員と塾講師をしながらさらに勉強中)
- パネラー紹介(いずれも当時)
- 2007年度
4周年記念イベント小児科医菅野知子さん講演会『子どもの心と体が気になるとき』
(9月9日:山科アスニー 後援・助成 京都新聞社会福祉事業団)
この講演会には約50名(スタッフ含む)のご参加がありました。菅野先生の子どもの目線にそった温かい語り口調に、ほっと癒やされた方も多かったのではないでしょうか?
- スタッフレポート
「こころとからだ」って無意識のうちに自分を守るためにサインを出している。心がしんどい時には、腹痛や吐き気がある。それを家庭や学校で心ある大人が気づいてあげたら、そして穏やかで温かなサポートが得られたら、どんなに幸せだろう。でも、親であるがゆえに、どうしても子どもを追い詰めてしまう時もある。そんな時「どうすればよかったの?」と親も自分を責めてしまうが、そういうときの対応の仕方なども話してくださった。
まず、メッセージとしてうけとめ、子どもの声に寄り添う。感情を開放させてあげることが大切。
声掛けとしては、(1)ああそう(受け入れ)(2)それから?(引き出す)(3)共感のことばかけ(「悲しかったんだね」「嫌だったね」など。「でも・・・」は呑み込む事)
私が一番心に残ったのは「習慣性のこだわりや癖に対しては温かい目で無視してあげて」というもの。こだわりの度合いによっては、耐えられないものも多いが、「子どもは子どもの人生」なのである。親が替わることはできない。「子育ては個育ち」と先生がおっしゃるように、子どものもっている個性をジャマしなければちゃんとその子なりに育っていくはず、という言葉は心に響いた。大人はつい自分たちの枠に入れたがる。それでは自己肯定感は育たないのは当然だと思った。
また、学校の教育に関して、外国では『教育法』というものがあるが、日本には『学校教育法』しかないという。だから親も「学校」という単語には敏感になってしまうのだろう。もっと大きな視野での教育(学び)に目を向けてみたいと思うが、現実を知っている大人はなかなか受け入れられない時がある。学校というのは横のつながり、同年代でクラスが編成される。調整力が弱いのが特徴だそう。確かにそうだと思う。でも所詮、社会に出れば、同年齢で動くことはまず無い。長い目での縦のスパンで考えることも大切だと、お話しくださった。
- スタッフレポート
- 2006年度
3周年記念イベント子育てシンポジウム「親子で振り返る 不登校の経験」
(7月23日:キャンパスプラザ第4講義室)
ハッキリしないお天気にもかかわらず、参加者は満席に近い72名。母親だけでなくご夫婦や子どもさんとの参加者も目にとまりました。また不登校の支援活動をされている方も多く参加してくださいました。
立命館大学教授の春日井敏之先生をコーディネーターにお招きし、不登校を経験した親子3組がそれぞれの経験を語るという「めずらしい」形のシンポジウム。このような場は初めてという子どもさんもいて、最初は緊張感も見えたものの、春日井先生の暖かいお人柄に助けられながら、それぞれが自分らしく、自らの経験を振り返り語ってくれました。隣に座る親の方はどんな話が飛び出すかヒヤヒヤ状態でしたが、自分を守ってくれた親に対する気遣いの言葉もあり、そこに流れる温かいものを感じることができました。- パネラー紹介(いずれも開催当時)
- 22歳女性とその親(小学6年生から不登校を始め、大検を取得して大学へ進学し、現在4回生で就職活動中)
- 19歳男性とその親(小学1年生の後半から不登校、部活の時間だけ登校した中学時代を経て、現在定時制高校4年生)
- 19歳男性とその親(小学5年生から不登校、通信制高校&サポート校に進学し、この春卒業。現在予備校生)
- パネラー紹介(いずれも開催当時)
- 2005年度
2005あけぼのフェスティバル参加事業・子育てシンポジウム「不登校から見る子どもの育ち」
(10月16日:京都府民総合交流プラザ会議室)
会場は用意した60脚のいすが足りないほどの盛況。母親だけでなくご夫婦で参加してくださった方もあり、また不登校の支援活動をされている先生方も多く参加してくださいました。
自分の子どもをはじめ、多くの不登校の子どもたちの成長や発達をみてきた4人のパネラーの方々。それぞれに貴重なお話をしてくださいました。同じ母親としての体験や、子どもや母親を支える支援者としての視点に立った温かい言葉に、時には涙しながら、皆さん熱心に聞き入っていました。
学校生活を中心に成長する子どももいれば、家庭を中心として育つ子どもたちもいる。また職場の中で大きく成長する子どももいる。学校や教育制度だけにとらわれず、子どもを主体とした人間形成を考えるとき、さまざまな子育ちの場があるのだということを感じることができました。- パネラー紹介(いずれも開催当時)
- 「学校へ行かない子と親の会」代表・定時制高校教師
- フリースクール「クロスロード」代表
- 「ごしょごしょクラブ」代表・ホームスクーリング実践
- 適応指導教室・指導員
- パネラー紹介(いずれも開催当時)
- 2004年度
一周年記念イベント「不登校経験者シンポジウム 今だから言えること」
(8月21日:ひとまち交流館にて)
8月21日、♪あんだんて♪では、1周年記念イベントとして「不登校を経験して 今だから言えること」というシンポジウムを行いました。暑さの厳しい日でしたが、50名以上の方が参加してくださいました。やはりお母さんの参加が目立ちましたが、お孫さんを心配してと思われるおばあさんや、小さな子どもさんを連れた方、ご夫婦づれのなかに、まれにお父さんだけで参加された方もおられました。その他、不登校の子どもたちを積極的に受け入れている学校やフリースクールの先生方、スクールカウンセラー、医療関係者など、不登校の子どもたちを支援して下さっている方々も多数来て下さいました。圧倒されそうなほどの会場の熱気でしたが、緊張した雰囲気を若いパネラーたちがゆっくり解きほぐしていき、ユーモアの混じる落ち着いた話ぶりに、会場からたびたび笑い声がおこりました。
- スタッフの感想より
「パネラーの若者たちを見て希望を持つことができた」
パネラーは不登校を経験した4人の若者(男性2人・女性2人)。私の子どもはまだ小さいので、前に並んだ若者達の姿がとても立派に見えた。若々しくて、おしゃれで…。「なんだ、全然普通の若者と変わりないじゃない」。
考えてみれば当たり前のことなのだけど、黙っていれば不登校だったのかどうかもわからない。学校へ行かなくても、こんなふうにちゃんと育つんだと、単純な私はもうそれだけで安心した。
その上、彼らの話を聞いている内に、不登校を経験した方が普通に学校へ行くよりも、もしかしたらずっとしっかりとした人間に育つのではないか、とさえ思えてきた。彼らは実によく考える。まじめで思慮深く、意志がしっかりしていて。それでいて、人の気持ちや考えも柔軟に受け入れることが出来る。親を責めるような発言は一言もなく、ある青年は「不登校は、けっして親のせいではありません。親の人はもうそんなに自分の責任を感じないでください。もう充分悩まれたのではないですか」とまで言ってくれた。本当に優しいなあ。
彼らの不登校時代の様子を聞くと、昼夜逆転していたり、ゲームにのめり込んでいたり、外出できなかったり、勉強に全く手がつかなかったり…と今現在不登校をしている子どもたちの様子と全く変わりなかったらしい。でも今は、それぞれに自分らしい夢や目標を見つけて前向きに動いている。「彼らは特別良くできた子どもたちなのでは…?」とちょっとひがみたくなる私だが、それでも、不登校をしていてもこうして普通に、いやそれ以上に立派に育つのだという事実は、今我が子の不登校で悩んでいる親御さんにとってはやはり希望が持てたのではないだろうか。私はとっても心が軽くなったし、私の子どもたちも、こんなふうに自分らしい生き方を見つけて欲しいなあと思った。
人前で自分のことを話すって、とても勇気のいることだと思う。パネラー役を引き受けてくださった方々に、改めてお礼を言いたい。ありがとう!
それから、彼らの立派な姿の後ろには、ずっと側にいて支えてきた親や家族の存在も忘れてはならないと思う。親御さんもここに来るまでには辛い時期があったことでしょうね。本当にご苦労さまでした。
不登校は、学校へ行くか行かないかという現象から始まるけれど、その問題が解決するとき、不登校という長い暗いトンネルから抜け出るとき、それはもう違う問題に置き換わっているではないかな。自分はどう生きるのか。どんな価値観を持って歩いていくのか。人間として誰もが、一度は深く考えなくてはならない課題。学校へ行きながら、何となく自分なりの答えを見つけることが出来る人も多いけど、不登校をしている子どもたちは、今その課題に深くじっくりと向き合っているのではないかしら。私はどうかな?こんな歳になってしまったけれど、今もう一度考え直してみるのもいいかもね。
- スタッフの感想より